
TECH CREW株式会社 代表取締役 CEO ドレ・グスタボさん。研修前のインタビューにて。
TECH CREW が「チームの仕組み」で向き合うと決めた理由
個人任せのAI活用が、
「社内AI格差」を広げていた
- 取材先
- TECH CREW株式会社
- 講師
- Furious Green合同会社
- 業界
- HRテック(クラウド型人事労務サービス)
- 開発チーム
- マネージャー1名+4名
- 分野
- HRソフトウェア開発・エンジニアチーム
- 研修
- 2026年10月16日
- テーマ
- AI研修
AI導入の課題と、その解決策
課題
- 使い方は個人任せで、チームのルールが無い
- メンバーごとに、使い方も習熟度もばらばら
- トークンを使っても、成果が見えない
解決策
- LLM・ループ・Skills の仕組みを、体系立てて理解
- ナレッジ共有の一環として、Skills を共有する
- AIの使い方を、チーム全体で考える
誰がどれだけAIツールを使っているか。社内で並べてみると、1位はエンジニアの一人。そして2位は――社長だった?!
人事労務のクラウドサービスを開発する TECH CREW株式会社では、AIツールをチーム向けのプランで使っており、一人ひとりの利用量が見える。開発チームはマネージャー1人と、その下の4人。営業もマーケティングも担う代表取締役 CEO のドレ・グスタボさんより多く使っていたエンジニアは、5人のうち1人だけだった。
社内のAIツール利用量ランキング
1位
2位
3位以下
エンジニア
社長
エンジニア(4人)
高さは順位を表したもので、利用量の実数ではありません。
「社長が社内で2位というのは、正直おかしい。エンジニアは全員、私を超えていて当たり前のはずなんです」
動画で見る2分58秒
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01課題
「社内AI格差」は、評価の差にまで表れていた
顧客企業には「AIで自社開発する」ところも出てきた。エンジニアの役割が問われるなか、社員のあいだには「社内AI格差」とでも呼ぶべき差が広がっていた。
「AIを前向きに使いこなしている社員は、いま大きく伸びています。一方で、AIをまだ信頼できず、従来のやり方にとどまっている社員は、アウトプットのスピードも品質も落ちてきている」
AIを前向きに使いこなしている社員
いま大きく伸びている
AIをまだ信頼できず、従来のやり方にとどまっている社員
スピードも品質も落ちてきている
差は、人事評価にまで表れていた。
研修のいちばんの目的
遅れているメンバーを「AI開発のスタンダードの水準まで引き上げること」
02原因
なぜ、格差は広がるのか
理由は一つではない。
理由1 触れる量の差
新規開発を担うデルポゾ ニックさんたちは、毎日AIを使う。一方で、既存システムの保守が中心のメンバーは、あまり使っていない。担当する仕事で、AIに触れる量が違う。
理由2 信頼と慣れの差
ドレ・グスタボさんは、AIをまだ信頼できない人、今までのやり方を続けたい人がいると話す。仕事の分担そのものも変わりつつある。その変化に「まだついてきていない人も社内にいる」という。
理由3 理解の差
仕組みを知らないまま、うまくいかなければ「もう一回やってみよう」と繰り返す。トークンを大量に使っても成果が見えず、想定と違うものができてゼロから作り直す。
理由4 共有の不在
チームの決まりは「Claude Code を使う」「Gemini を使う」程度。最初に考えたのはセキュリティのルールで、使い方のルールはまだ無かった。

開発チームのマネージャー、デルポゾ ニックさんはこう振り返る。
「AIが重要だということは、チームとして分かっています。ただ、どう使えばいいのか、AIが内部で何をしているのかを理解できていない。チームとしての理解が足りていないと感じています」
「どう使えばいいのかを、まさに考えている最中です。ここからルールを考えていく段階だと思っています」
エンジニアの林さんによれば、小さな修正で、人なら30秒のところをAIが5分ほど考え込むこともときどきある。
林さんも、エンジニア同士がAIの話を仕事の中で本格的にすることは、意外と少ないと言う。うまくいった人のやり方は、その人の中にとどまっていた。
触れる人ほど慣れ、慣れた人ほど使う。共有の仕組みが無ければ、差は放っておくほど開いていく。
格差は、使い方を個人に任せてきた結果でもあった。

03講師
なぜ、Furious Green だったのか
研修を担当したのは、Furious Green合同会社。「生成AIを組織に定着させる。」を掲げ、PoC止まりで終わらせないための実践的なAIトレーニングと技術支援を行う会社だ。ゴールは知識を渡すことではなく、「実務で使いこなす力」に置いている。
研修を監修するのは、代表のフランシスコ氏。奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)で修士号を取得後、Google や CyberAgent でエンジニアリングを率いてきた。今回の研修では、自ら講師を務めた。
ヘビーユーザーのドレ・グスタボさんには、一般の勉強会は既知の内容が多かった。
「フランシスコと話したときは、私自身にも分からないことが多かった。一般的なAIセミナーよりも深い、最先端のところまで連れて行ってくれると感じました」
決め手は、社外と社内での手応えだった。
社外での評価
Furious Green は大手スポーツウェアメーカーのAI研修に携わっていて、その担当者から高い評価を受けていると耳にしていた。
社内での手応え
導入前に Furious Green が行ったヒアリングで、マネージャーのニックさんが1時間話した。すると翌日から新しいアイデアを次々に出し、1週間後には「工程によっては倍近いスピードで進められるようになった」という声も上がったという。



04研修
研修で手にしたもの:チームでAIを回すための「仕組み」
研修後、デルポゾ ニックさんが真っ先に挙げたのは仕組みの理解だった。
「LLMの動き方や、ループ、Skills。これまで感覚的に使っていた仕組みを、体系立てて説明してもらえたことに感銘を受けました。仕組みがはっきり見えるようになりました」

研修では、チームでAIを回す考え方も扱った。スライドには「プロジェクトループ: チケットが完了の定義を運ぶ」とある。
プロジェクトループ: チケットが完了の定義を運ぶ
- ゴールと範囲
- 受け入れ条件
- Doneの条件
- 許可なく進めてはいけない境界
個人の頭の中の判断を、チームで共有できる形にする考え方だ。

林さんはこう話す。
「エンジニアの視点にとどまらず、監査や、ビジネスとして結果を残すところまで話が広がったのが面白かった。ツールの機能をあえて絞ることで、かえって効率が上がる。これを学べたのは収穫でした」
スライドにも「MCPは必要なものだけ」「ツールセットを絞る」とあった。
05これから
個人の工夫から、チームの仕組みへ
社内に持ち帰って、まず何をするか。2人の答えは、どちらもチームのことだった。
研修前
使い方は個人任せ。ルールがなく、ばらばら
研修
LLMループSkills
仕組みを体系立てて理解
社内に持ち帰って取り組むこと
- ナレッジを整理・共有
- 認識をそろえる
- 使い方をチームで考える
「まずは、チームのナレッジを整理して、共有できる環境をつくります。その一環として、Skills の共有から始めます。これまではメンバーがそれぞれのやり方で使っていましたが、認識をそろえることで、より効率の良い進め方が生まれると考えています」
デルポゾ ニックさんが変えたいのは、情報共有だ。
「AIの使い方を、個人の努力に任せるのではなく、チーム全体で考えていく形にしたい」
差は埋まりそうかと聞くと、デルポゾ ニックさんは「そう思います。そう思いたいです」と答えた。林さんも、AIに関する知識をチームで共有し、働きやすい環境をつくりたいと話し、研修そのものがエンジニア同士でAIを語り合うきっかけになると見ている。

06まとめ
格差を埋めるのは、個人の努力ではなくチームの仕組み
この研修を、どんな人に勧めたいか。デルポゾ ニックさんはこう答えた。
「自分のAIの使い方が正しいのか、価値を出せているのか、迷っているエンジニアにこそ受けてほしい研修です」
社内AI格差は、熱心な人とそうでない人の問題に見える。だが TECH CREW の現場が研修直後に選んだのは、一人ひとりを鍛えることではなく、チームで共有するルールと仕組みをつくることだった。AIの利用量で、社長が社内2位。その違和感から始まった研修の直後、チームはすでに仕組みづくりへと舵を切っていた。


「エンジニア同士がAIについて本格的に話す機会は、意外と少ないものです。こうした研修は、その対話のきっかけになり、チームづくりにも役立つと思います」
COMPANY PROFILE
TECH CREW株式会社
多店舗・シフト型ビジネスのためのクラウド型人事労務サービス「人事CREW」を開発・提供。入社手続き、労務管理、年末調整、給与明細までをオンラインでつなぐ。延べ800社・50万人以上が利用。
- 設立
- 2016年4月
- 本社
- 東京都港区
- 開発
- マネージャー1名+4名
- 研修
- 2026年10月16日







